お花屋さんが“仕入れの日”に一番気を使っていることとは?
お花屋さんにとって、“仕入れの日”はとても大切な一日です。
店頭に並ぶお花は、ただ綺麗なものを選んでいるだけではありません。季節、気温、天候、イベント、相場、お客様のご予約内容など、さまざまなことを考えながら仕入れを行っています。
お客様から見ると、「今日はどんなお花が入ったのかな?」という楽しみの日かもしれません。ですが、花屋側からすると、仕入れはお店の品質を左右する、とても重要な仕事のひとつです。
今回は、そんな“仕入れの日”にお花屋さんが一番気を使っていることについてお話ししたいと思います。
まず一番大切なのは、“お花の鮮度”です。
当然と思われるかもしれませんが、実は同じ種類のお花でも、その日の状態によって品質はかなり変わります。
例えば、蕾が硬すぎるものは咲かない可能性がありますし、逆に咲きすぎているものは店頭での持ちが短くなります。
葉っぱの色艶、茎の硬さ、水の上がり方、花弁の傷み、輸送時のダメージなど、細かい部分まで確認しながら選んでいきます。
特に夏場は、お花への負担が大きくなる季節です。市場からお店へ運ぶ間の温度管理だけでも気を抜けません。少しの時間でも暑い場所に置いてしまうと、水が下がってしまったり、傷みが早く進んでしまうことがあります。
だからこそ、仕入れた後のスピード感も大切です。
すぐに水揚げをしたり、涼しい場所で管理したり、お花が一番良い状態でお客様のもとへ届くように準備しています。
そして、もう一つ大切なのが“季節感”です。
お花屋さんは、ただ人気のお花だけを並べているわけではありません。
「今の季節だからこそ綺麗なお花」を感じてもらえるように、季節感を意識して仕入れをしています。
春ならラナンキュラスやチューリップ。
初夏には芍薬や向日葵。
秋にはダリアや実物。
冬にはシンビジウムや枝物など。
季節のお花には、その時期にしか出せない魅力があります。
お店に入った瞬間に「季節が変わったな」と感じてもらえる空間づくりも、お花屋さんにとって大切なお仕事です。
また、仕入れでは“お客様のご予約”も非常に重要です。
例えば、還暦祝いの赤系アレンジメント、開店祝いの華やかなスタンド花、お供え用の落ち着いた色合いなど、ご用途によって必要なお花は大きく変わります。
ご予約内容を確認しながら、「このお客様にはこの雰囲気が合いそう」「この色を入れるともっと綺麗になるかも」と想像しながら仕入れをしています。
実は、お花屋さんの仕入れは“買い物”というより、“作品づくりの準備”に近い感覚なのかもしれません。
どんなお花を組み合わせるか。
どんな色合いにするか。
どんな人へ贈られるのか。
そういった背景まで考えながら、一つひとつのお花を選んでいます。
さらに難しいのが、“仕入れすぎないこと”です。
お花は生き物なので、長期間保存ができません。
多すぎればロスになってしまいますし、少なすぎればお客様にご迷惑をおかけしてしまいます。
天候やイベント、週末の流れ、予約状況などを見ながら、「どれくらい必要か」を予測するのも、お花屋さんの大事な仕事です。
母の日や卒業シーズン、年度末などは特に難しく、花の価格も大きく変動します。
それでも、お客様に少しでも綺麗なお花を届けたいという思いで、毎回真剣に仕入れをしています。
店頭に並んでいるお花は、ただ“置かれている”わけではありません。
その裏には、市場での出会い、状態確認、水揚げ、温度管理、組み合わせのイメージなど、たくさんの工程があります。
もしお花屋さんへ行く機会がありましたら、ぜひ「今日はどんなお花が入ったんですか?」と聞いてみてください。
きっと、その日ならではのおすすめや、季節のお花との出会いを楽しめると思います。
お花は、ただ綺麗なだけではなく、“誰かの気持ち”を運ぶ存在です。
だからこそ、お花屋さんは仕入れの日に、今日も一輪一輪と真剣に向き合っています。
