夏前に増える“切花の異臭”の原因と対策を花屋が解説
せっかくお花を飾ったのに、
「なんだか花瓶から嫌な臭いがする…」
「お花はまだ綺麗なのに水が臭う…」
そんな経験をされたことはありませんか?
特に気温が上がり始める5月下旬から夏にかけて、このご相談が急激に増えてきます。
実は、その臭いの原因はお花そのものではなく、花瓶の中で起きている変化によるものがほとんどです。
今回は、夏前から増える“切花の異臭”の原因と、ご家庭で簡単にできる対策について花屋の視点から解説したいと思います。
まず結論から言うと、異臭の最大の原因は「雑菌の繁殖」です。
切花は花瓶の水を吸い上げながら生きています。
しかし、茎の切り口からは少しずつ植物の養分も溶け出しています。
さらに葉っぱの一部や花粉、小さなゴミなども水の中に入ります。
そこへ気温の上昇が加わることで、雑菌が急激に増殖してしまうのです。
この雑菌が増えると、水が白く濁ったり、ぬめりが発生したり、独特の嫌な臭いが出たりします。
特に夏前は昼夜の寒暖差があり、「まだ真夏じゃないから大丈夫」と油断しやすい時期です。
実際には25℃を超える日が増えると、水の傷みは一気に早くなります。
花屋でもこの時期になると、水替えの頻度や管理方法を冬場より厳しくしています。
では、どんなお花が特に臭いやすいのでしょうか。
代表的なのは葉が多いお花です。
バラやひまわり、菊類などもそうですが、葉が水に浸かってしまうと腐敗が進みやすくなります。
また、茎が柔らかいお花も水が傷みやすい傾向があります。
トルコキキョウやガーベラなども管理環境によっては注意が必要です。
逆に胡蝶蘭や枝物などは比較的水が傷みにくい場合もあります。
では、ご家庭ではどのような対策をすれば良いのでしょうか。
まず一番効果的なのは「毎日の水替え」です。
夏場はできれば毎日。
最低でも2日に1回は新しい水へ交換することをおすすめします。
水替えをするだけで雑菌の増殖を大きく抑えることができます。
次に大切なのが「花瓶を洗うこと」です。
意外と見落とされるポイントですが、水だけ交換しても花瓶の内側にぬめりが残っていることがあります。
そのぬめりには大量の雑菌が付着しています。
水替えの際にはスポンジで軽く洗い流すだけでも効果があります。
そして、「水に浸かる葉を取り除く」ことも重要です。
花瓶に活ける前に、水面より下に来る葉は取り除いてください。
葉が腐ることで臭いの原因になるだけでなく、水の劣化も早めてしまいます。
また、茎を定期的に切り戻すこともおすすめです。
茎の切り口は時間が経つと雑菌や空気が入り、水を吸いにくくなります。
2〜3日に一度、1cmほど切り戻すことで吸水力が回復し、お花も長持ちします。
さらに、置き場所も大切です。
直射日光が当たる場所。
エアコンの風が直接当たる場所。
窓際の高温になる場所。
こうした環境では水温が上がりやすく、雑菌も繁殖しやすくなります。
できるだけ涼しい場所へ飾ることが理想です。
最近では切花延命剤を利用される方も増えています。
延命剤には栄養補給だけでなく、雑菌の繁殖を抑える成分が含まれているものもあります。
花屋でお渡しする小袋の延命剤は、実は長持ちだけではなく臭い対策にも役立っているのです。
お花から嫌な臭いがすると、「もう傷んでしまったのかな」と思う方もいらっしゃいます。
しかし実際には、お花自体はまだ元気なのに、水の管理だけが原因になっていることも少なくありません。
少しの手間をかけるだけで、お花は驚くほど長く美しく楽しめます。
これから気温が高くなる季節。
ぜひ水替えや花瓶のお手入れを意識して、お花を気持ちよく楽しんでいただければと思います。
お花の美しさだけでなく、清潔な環境を保つことも長く楽しむための大切なポイントです。
夏前の異臭対策をしっかり行いながら、これからの季節もお花のある暮らしを楽しんでみてください。
